親から相続した土地の活用方法で悩んでいる方や、不動産収入が欲しいと検討している方に向けて、今回は駐車場経営について解説します。
駐車場経営は他の不動産投資と比べ、初期費用が少なく手軽に始められます。
そのため、不動産投資初心者には人気の投資方法となっています。
今回は3つの駐車場経営方法のメリットデメリットを解説し、初期費用相場も説明します。
自身に合った駐車場経営を選んでいきましょう。
投資家歴10年の個人投資家。慶應義塾大学在学中から世界中の株式投資、債券、コモディティまで運用中。
他にもマンション投資、ソーシャルレンディング、不動産投資クラウドファンディングにも投資中。
3つの駐車場経営方法とメリット・デメリットを解説
土地活用である駐車場経営には3つ方法、
- 月極駐車場経営
- コインパーキング経営
- 立体駐車場経営
があり、それぞれ特徴やメリットデメリットがありますので解説します。
月極駐車場経営
月極駐車場経営は、利用者と賃貸借契約を締結し、毎月賃料収入を得る経営方法です。
一般的に不動産会社に管理委託し、利用者と1年もしくは2年間の賃貸借契約を結びます。
月極駐車場のメリット
月極駐車場のメリットを3つ紹介します。
- 初期費用が安い
月極駐車場は、3つの駐車場経営の中では一番初期費用が少ないです。
未舗装でも駐車場経営することが可能であり、ロープなどで区割りすればすぐに始められます。
- 狭小地でも経営可能
家などが建てられないほどの敷地面積であっても、駐車場1台でも停められる土地であれば、経営可能となります。
- すぐに転用できる
月極駐車場として経営が成り立たず、新たに賃貸住宅などを建築して収益改善を図る場合、大きな解体がなく、退去告知もすぐのため、安易に転用することが可能です。
賃貸住宅の場合、6か月前告知が義務付けられておりますが、駐車場の場合、1か月前告知で済みます。
月極駐車場のデメリット
月極駐車場のデメリットとしては、利用者が少なければ、収入に繋がりません。
つまり、駐車場需要がない場所で経営していても、賃料を得られず固定資産税を支払うだけになる懸念があります。
コインパーキング経営
コインパーキング経営は、月極駐車場と違い、時間単位で利用者から収入を得る方法です。
場所によって異なりますが、10分単位や15分単位での料金設定をしているのが特徴です。
コインパーキング経営のメリット
コインパーキング経営にはメリットが3つ紹介します。
- 大きな収益を生む可能性がある
月極駐車場の場合、1か月の賃料と利用可能台数に上限があります。
そのため、最大収益が決まっている特徴があります。
一方、コインパーキング経営は需要の高い場所であれば、利用者が次から次へと入れ替わるため、高い収益を生み出す可能性があります。
- 収入保証してくれる会社がある
コインパーキング経営を始める多くの方は、コインパーキング会社に運用を委託しています。
委託した場合、「管理委託方式」と「一括借り上げ方式」の2つ管理方法があり、一括借り上げ方式を採用することで、毎月の収入保証をしてくれます。
- 初期費用が0円で始めることが可能
先ほどの一括借り上げ方式を採用することによって、初期費用である機器設置費用や機械一式費用などをコインパーキング会社が全額負担してくれる企業もあります。
コインパーキング経営のデメリット
先ほどは一括借り上げ方式による初期費用が0円の説明をしましたが、すべての場所を保証するわけではありません。
コインパーキング会社も、立地や駐車可能台数を考慮し、運営上問題ないと判断した場合のみ一括借り上げをしてくれます。
立地が非常に大切になるコインパーキング経営ですので、運用するコインパーキング会社が一括借り上げ方式不可と判断した場合、初期費用も自身で負担する必要があります。
立体駐車場経営
立体駐車場は主に、スーパーや商業施設にある2階建て以上の駐車場を指します。
個人で経営されている方は少ないですが解説していきます。
立体駐車場経営のメリット
敷地面積にもよりますが、駐車可能台数が多いのが特徴でもありメリットでもあります。
月極駐車場やコインパーキングは1階のみの運用ですが、立体駐車場は2階3階、もしくはそれ以上の階数となり、より多くの車が駐車できるようになっています。
立体駐車場経営のデメリット
立体駐車場のデメリットとしては、大規模な敷地に対して、高額な工事費となるため、個人の方が経営を始めることは難しいです。
駐車場とはいえ、2階3階と駐車場フロアを建設する資金が高額であり、金融機関からの融資を受けることは困難です。
さらに立体駐車場が建設できるほどの土地を所有している方も少ないのが現状です。
また、マンションなどの駐車場で見かける機械式も立体駐車場に該当します。
機械式は車を出すまでに時間がかかるため、駐車場経営として採用している方はほとんどいません。
3つの駐車場経営の初期費用の相場は?
3つの駐車場経営のメリットデメリットを解説してきました。
次に初期費用の相場を解説していきます。
初期費用を比較するために、土地の条件は下記の通りにまとめます。
敷地面積 |
100坪(330㎡) |
現況 |
更地 |
道路との高低差 |
高低差は無いものと想定 |
月極駐車場経営
月極駐車場の場合は以下の通りです。
駐車可能台数 |
13台 |
初期費用(アスファルトなどで舗装) |
200万円前後 |
初期費用(未舗装) |
80万円前後 |
駐車場1台の面積は3.78坪ですが、車の出入りを考慮すると、もう一台分の面積が必要となるため、7.5坪の大きさになります。
- 100坪÷5坪=13台(駐車可能台数)
もちろん、土地の形状によって異なるため、目安としてください。
アスファルト駐車場の初期費用項目
アスファルトなどで舗装して、駐車場経営を始める場合の費用別項目は下記の通りです。
アスファルト駐車場 |
整地、残土処理作業 |
2,000円/㎡前後 |
アスファルト舗装 |
3,000円/㎡前後 |
|
駐車ライン引き |
10,000円/1台あたり |
|
車止めブロック |
5,000円前後/1台 |
|
作業費用 |
20万円から30万円前後 |
もちろん、依頼する業者や地域によって費用は異なります。
上記の表を考慮すると、おおよそ100坪のアスファルト舗装月極駐車場初期費用は200万円前後となります。
未舗装駐車場の初期費用の項目
未舗装駐車場の場合は以下の通りです。
未舗装駐車場 |
整地、残土処理作業 |
2,000円/㎡前後 |
区割りロープ |
40円/m前後 |
|
車止めブロック |
5,000円前後/1台 |
土地の状態によっては整地や残土処理をしなくても良いケースが多いです。
そのため、区割りロープと車止めブロックだけの場合、初期費用は7万円前後で済むこともあります。
ただし、水たまりなどがすぐできてしまう土地であれば、整地なども必要となり、80万円前後の初期費用が必要となります。
コインパーキング経営
一括借り上げ方式によるコインパーキング経営の場合、初期費用0円で始めることも可能です。
しかし、先ほどのデメリットでもお伝えした通り、自身で初期費用を負担する場合は、下記の通りになります。
駐車可能台数 |
12台から13台(精算機の兼ね合いで前後) |
初期費用(アスファルトなどで舗装) |
450万円前後 |
初期費用(未舗装) |
330万円前後 |
コインパーキング経営はアスファルト舗装で運用する場合と未舗装で運用する場合があります。
先ほどの月極駐車場の初期費用に、さらにコインパーキング経営をする機器などが必要となります。
精算機 |
50万円前後 |
ロック板 |
10万円前後/1台あたり |
看板・照明 |
15万円前後 |
設置・施工費 |
50万円~70万円 |
コインパーキング経営を始めるための機器代金だけでも約250万円近くの初期費用が必要となります。
そのため、一括借り上げ方式できない地域の場合、初期費用回収までに時間がかかるため、費用対効果を考慮する必要があるでしょう。
立体駐車場経営
立体駐車場の場合、100坪の土地では運用できない場合が多いです。
車の動線や2階フロア、3階フロアへ向かう傾斜などを考慮すると非常に難しいでしょう。
そのため、ここではマンションの駐車場などにある機械式の立体駐車場を想定します。
さきほどもお伝えした通り、機械式の立体駐車場経営をしている方はほとんどいませんが、初期費用は一つあたり、200万円から400万円となります。
一つの機械式駐車場で2台まで停めることは可能ですが、地面を深く掘削するため、残土処理費用や地中工事が大きな負担となります。
投資金額に対して回収できるまでの時間が合わない理由で、機械式駐車場経営を採用していない人がほとんどでしょう。
駐車場経営中に必要となる3つの費用
駐車場の初期費用を理解した上で、次に運営していく上で必要となる費用を3つ、
- 修繕費用
- 管理手数料
- 税金
を解説します。
修繕費用
駐車場はたくさん利用することでアスファルトのひび割れや、機器のメンテナンスなどが必要となります。
アスファルトは場合によっては補修しない方もいますが、ひび割れなどは車のパンクの原因にもなりかねません。
コインパーキングの精算機などが壊れた場合、利用者はそこから出られず、大きな迷惑をかけてしますので、日々の機器のメンテナンスは必須です。
つまり、駐車場を経営するうえで、ランニングコストは必ず必要となります。
管理手数料
月極駐車場やコインパーキング会社に管理を委託する場合、管理手数料を支払う必要があります。
月極駐車場を不動産会社に管理委託した場合、一般的には賃料の5%を支払います。
コインパーキングは運営会社によって異なりますが、10%~20%、もしくはそれ以上のケースもあります。
手数料は駐車場を管理委託する上で必ず支払います。
手数料を支払いたくない方は、手間と労力がかかりますが、自身で管理するしかありません。
税金
駐車場を経営している場合、土地の所有者でもありますので、固定資産税と都市計画税を納税する必要があります。
毎年1月1日時点で土地を所有している方に納税通知書が届きます。
税金を支払わないと差し押さえなどの要因になってしまい、駐車場経営ができなくなってしまいます。
まとめ
今回3つの駐車場経営方法のメリットデメリットと初期費用相場を解説してきました。
駐車場経営は初期費用が低い分、収益も弱い特徴があり、更に日々のランニングコストを考慮する必要があります。
そのため、安易に始めては赤字経営にもなりかねません。
初期費用を比較検討して自身に合っている駐車場経営を選択する必要があるでしょう。
ただし、立地の良い土地を所有している方はコインパーキング会社に相談してみましょう。
場合によっては初期費用0円で始めることができ、大きな収益を生む土地に変わるかもしれません。