近年、「リースバック」という方式で土地活用を行っているという話を耳にしませんか?
土地活用に関わるリースバックは仕組みが複雑で理解しにくいために、今まで敬遠してきた方も多いかもしれません。
しかし、土地活用においてリースバックは一般的で、ロードサイドにある飲食店やドラッグストア、コンビニエンスストアなどのチェーン店を開業するときには広く利用されている方式です。
また、単に土地を賃貸するよりも、高い収益性が見込めることもあります。
今回は、土地活用に広く利用されている「建設協力金方式」のリースバックについて紹介していきます。
このコラムを読めば、新しい土地活用の方法を知ることができ、所有土地からの収益力を向上させられますのでぜひ参考にしてみて下さい。
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土地活用においてのリースバックとは
不動産における「リースバック」とは、一般的には自己所有の住宅や事務所、工場などをいったん売却し、その不動産を従前どおり利用し続けるために賃貸することをいいます。
売却によってまとまった資金を得ることができるため、多くは一時的な資金繰りの改善や、老後資金の確保などに活用されています。
土地活用でのリースバックの特徴
しかし、土地活用においてのリースバックは上記の意味とは異なる手法のことを指す場合が多いようです。
ロードサイドのレストランやドラッグストア、コンビニエンスストアをイメージしてください。
このような会社は常に出店する機会を探していて、好立地の駅前土地やロードサイド土地を見つけると、地主に土地を利用させてくれないかと交渉します。
当初は単に土地を賃貸する手法も見られましたが、収益力が高い手法として主流になってきたのが「建設協力金方式」のリースバックによる手法です。
店舗の建設資金の出し手がテナントであり、テナントが設計・建設した店舗をテナントが賃貸するため、テナントから見るとあたかもリースバックに似た手法になるのです。
では、建設協力金方式の仕組み・流れについて詳しく見ていきましょう。
建設協力金方式リースバックの仕組み・流れ
まず、好立地の土地をもつ地主に対してコンビニエンスストアなどのテナント会社は、「建設協力金」という名目で店舗の建設資金を無金利、もしくは非常に低い金利で貸し付けます。
地主は建設協力金で、テナント会社の指定する仕様で店舗を建設し、店舗をテナント会社に賃貸します。
建設協力金は開業後に貸付金から保証金と名目を変え、地主はテナントから一定額の保証金が相殺された賃料を受け取ります。
(地主が月々受け取る収益)=(テナント賃料)-(当初貸付された金額の元本返済額)
地主が月々受け取る収益が単に土地を賃貸する場合よりも高いために、建設協力金方式リースバックは広く一般的に利用されているのです。
事業用定期借地権との違いは?
土地を事業のために賃貸する場合、「事業用定期借地権」を設定して、期間を定めて賃貸する手法もよく利用されています。
いずれも、店舗建物の建設費用はテナントが支払うという点では同じです。
しかし、事業用定期借地権と建設協力金方式リースバックの大きな違いは、土地上にある店舗建物の所有権が地主にあるか、テナント会社にあるかという点です。
テナント会社は建物の所有権を持つと、莫大な固定資産を持つことになり、銀行融資の面、あるいは株主の目からみると財務的にあまり好ましくないのです。
また、地主にとっても土地の収益力が上がればそれに越したことはありません。
建設協力金方式リースバックは双方にとってウィン-ウィンの関係を築くために多く利用されているのです。
リースバックと事業用定期借地権どっちが得?
建設協力金方式リースバックは店舗の所有権を地主が持つ代わりに、地主が月々受け取る収益は事業用定期借地権の場合よりも高めに設定されます。
そのため、建設協力金方式リースバックは事業用定期借地権よりも金銭面では得と言えるでしょう。
しかし、後述する通り、収益が高めに設定される代わりに事業用定期借地権の場合にはないリスクもありますのでその点を考慮する必要があります。
建設協力金方式リースバックに向いているのはこんな人
建設協力金方式リースバックを利用するためには、何よりもまず店舗やレストランなどに適した土地を所有している必要があります。
住宅街の真ん中などだと利用範囲が限られるでしょう(一部駐車場などの活用方法はあります)。
また以下のようなメリットがありますので、このメリットを享受したいという方には建設協力金方式リースバックが向いているといえます。
土地活用でリースバックする5個のメリット
難しく感じられる土地活用におけるリースバックについて、そのメリットを分かりやすく5個、ご紹介します。
メリットを具体的に知ることで、より知識が深まるのでぜひ目を通してください。
収益性が高い
土地のみの賃貸は従来から賃料が低く見られがちでした。
しかし、建設協力金方式が提案されたことで、多くの地主が店舗を建設して土地の収益力を増加させました。
単に土地を賃貸するよりも収益性が高いことは、建設協力金方式リースバックの一番のメリットです。
借主の信用力が高い
建設協力金方式リースバックは、建設資金をテナント会社が支払うことから、テナント会社は資金調達力のある信用力の高い会社であることがほとんどです。
ファストフードレストラン、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどテナント会社は上場企業がほとんどだと思います。
地主の負担が軽い
建設資金をテナント会社が支払うために、地主の金銭的負担はほとんどありません。
また、リースバック期間中もテナント会社の専門の担当者から細かくアドバイスを受けることができるためにほとんど事務的な負担はありません。
相続税対策に有効
土地の相続税評価について「貸家建付地」という評価方法が適用されるため、土地の相続税評価額がおおむね15%から25%程度減額されます。
また、相続時に未返還であった保証金は債務として認識されるため、この分についても相続財産から控除されます。
管理会社設立により所得分散などがしやすい
建設協力金方式リースバックを提案されたことを機に、財産管理会社を設立して子を役員にすることによって所得を子に移転したりすることにより、所得税対策・相続税対策をする方もおられます。
単に土地を賃貸する方式だと自己所有の土地を法人に所有権移転する必要があるために困難がともないます。
建設協力金方式リースバックのリスクとは
建設協力金方式リースバックはいろいろな利点があり、土地を所有する方にとっては有用なものです。
しかし、収益力が高い分リスクも生じてきますので、以下の点について留意しておく必要があります。
建物に関する諸費用を考慮する必要がある
建物を所有するということは、所有建物に関する諸費用は基本的に地主負担ということです。
店舗を経営するために必要な修繕費用や維持管理費用についてはテナント会社が負担することが多いですが、固定資産税は地主負担となります。
事業計画上、すべてのコストについて考慮されているかを十分に確認しましょう。
途中解約のリスク
信用力のあるテナント会社であっても、倒産のリスクは否定できません。
また、お客さんが全く入らないような状況が続けば早期撤退という可能性もあります。
万が一そのような事態に陥ったときには契約上どうなるのか、契約書を確認するとともにテナント会社の担当者に確認する必要があります。
土地の原状回復の条項がない
建設協力金方式リースバックの場合、店舗建物の所有権は地主側にあるために、リースバック期間が終了し、その後もリースが更新されない場合には店舗建物が土地上に残ることになります。
店舗建物の仕様はテナント会社によって決められた仕様になっているために、他の店舗への転用が難しい場合がほとんどです。
その場合には、事業計画に撤去費用が見込まれているかどうかを確認すべきでしょう。
まとめ
建設協力金方式リースバックは通常の不動産売却やリースとは異なり、少し仕組みが複雑ですが、広く土地活用に利用されている方法です。
興味がわいたときには、専門の不動産会社等に相談してみることをお勧めします。
リースバックを検討する際、1社だけの査定で決めるのは危険。
同じ物件でも査定する会社によって300万円以上も差が出ることがあるからです。
本来3,000万円で売れた家を2,700万円で手放す、なんてことを防ぐためにも、必ず複数社に査定を依頼しましょう。
何社も調べて査定依頼するのは面倒ですが、そんな時はリースバック専門の一括査定サイト「家つぐ」が便利です。
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