駐車場経営に税金はかかる?投資のプロが節税対策から確定申告する条件まで徹底解説!

目次

駐車場収入の所得区分

確定申告の際に駐車場収入をどの所得区分で申告するか悩む人は多い多いでしょう。

土地を使うからすべてが「不動産所得」というわけではなく、「事業所得」や「雑所得」になる場合もあります。

その判断基準は以下のとおりです。

不動産所得

定期的に駐車させる月極駐車場は不動産所得です。

コインパーキング(時間貸し駐車場)で、駐車場運営会社に一括して土地を貸し出し、固定の賃料を得ている場合も不動産所得となります。

また、管理委託でコインパーキングの設備を運営会社が持ち込む場合も不動産所得です。

事業所得

管理委託でも、コインパーキングの設備を土地所有者が購入する場合は事業所得です。

雑所得

管理委託で、コインパーキングの設備を土地所有者が購入する場合でも、1~2台など台数が少なく、給与などほかの収入がメインの場合は雑所得となります。

つまり、副業は雑所得となる可能性が高いです。

駐車場経営にかかる税金5選

駐車場経営には主に5つの税金、

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 償却資産税
  • 所得税
  • 住民税

の納税義務がありますので解説していきます。

固定資産税

駐車場経営をされている方が支払う固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地所有者に対して市町村が課税する税金のことを指します。

土地だけでなく、建物に対しても税率がかかり納税義務があります。

固定資産税は、固定資産税評価額×1.4%の金額が納税額です。

固定資産税評価額は、毎年固定資産税納税通知書に記載されている値になります。

売買により土地を購入された方は、前所有者から納税額を聞いておくことをオススメします。

それでも固定資産税評価額が分からない方は、敷地面積×固定資産税路線価にて、算出可能です。

固定資産税路線価とは、路線に面する標準的な宅地1㎡あたりの価格を表したものです。

路線価価格は全国地価マップで見ることができ、駐車場の道路の前に記載されている数値です。

仮に固定資産税路線価が10,000円で、敷地面積が300㎡であれば、固定資産税評価額は3,000万円になるということです。

固定資産税評価額が分かれば、後は税率を掛けることによって固定資産税を算出できます。

都市計画税

駐車場経営の都市計画税は、市街化区域内に土地を所有している方が納税する税金です。

固定資産税同様、建物にも課税されます。

都市計画税は、固定資産税評価額×0.3%にて算出可能です。

固定資産税評価額は先ほど固定資産税で説明した数値と同じになります。

都市計画税の税率は一般的には0.3%になりますが、地域によっては0.2%や0.5%、もしくは都市計画税自体が存在しない場所もありますので、行政に確認してください。

償却資産税

償却資産税は駐車場経営を始める際に投資した設備に対して課税される税金です。

償却資産評価額に1.4%をかけた値が納税額となりますが、税率は地方によって異なりますので、こちらも行政に確認しましょう。

償却資産評価額はその設備によって減価率が設定されており、以下の計算方法に算出できます。

駐車場経営を始める前の年に取得した資産の場合

償却資産評価額=取得価額×(1-減価率×1/2)

2年目以降の償却資産評価額

償却資産評価額=前年度評価額×(1-減価率)

設備によって対応年数も異なるため、減価率も変動するので注意しましょう。

所得税

駐車場経営でも会社員の給与同様に所得税は課せられます。

1月1日から12月31日までの1年間に得た駐車場収入から経費を差し引き、税率を掛けた額を納税します。

以下の計算方法に算出できます。

駐車場経営の所得税

(1年間の駐車場収入-1年間の経費)-所得控除×税率

下記の表は所得に対する税率と控除額になります。(2022年1月時点)

所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

駐車場所得が少ない場合、税率は低くなりますが、所得が増えるほど税率は高くなる傾向が見てわかるでしょう。

駐車場経営をされている方の多くは、経費をうまく利用し、少しでも所得納税額を減らすようにしております。

住民税

住民税は1月1日時点の住所地で課税される地方税です。

地方によって税率は異なるものの、おおよそ10%前後になることが多いでしょう。

住民税の計算は所得に対して課税されます。

そなわち、1,000万円の所得であれば、住民税は100万円になるということです。

シミュレーションを用いて税金計算

5つの税金を理解した上で実際に納税額を計算してみましょう。

条件は下記の通りです。

敷地面積330㎡(100坪)
固定資産税路線価50,000円
駐車可能台数10台
1台あたり駐車場料金10,000円
月の経費7,000円
初期設備費用(取得費)4,000,000円
償却資産の耐用年数10年
減価率0.897

固定資産税の計算

330㎡(敷地面積)×50,000円(固定資産税路線価)=16,500,000円(固定資産税路線価)
16,500,000円(固定資産税路線価)×4%(税率)=231,000円(固定資産税)

都市計画税の計算

16,500,000円(固定資産税路線価)×3%(税率)=49,500円(都市計画税)

償却資産税の計算

4,000,000円(取得費)×(1-897×1/2)=2,206,000円(償却資産税評価額)
2,206,000円(償却資産税評価額)×1.4%(税率)=30,884円(償却資産税)

所得税の計算

10台×10,000円×12か月=1,200,000円(年間収入)
7,000円×12か月=84,000円(経費)
1,200,000(年間収入)-84,000円(経費)=1,116,000円(年間所得)
1,116,000円(年間所得)×5%(税率)=55,800円(所得税)

住民税の計算

1,116,000円(年間所得)×10%(税率)=111,600円(住民税)

上記をまとめると、

固定資産税231,000円
都市計画税49,500円
償却資産税30,884円
所得税55,800円
住民税111,600円
合計478,784円

固定資産税路線価によって、固定資産税の納税額は異なるものの、年間収入120万円に対し、約40%が税金で支払わなければならないことがわかります。

駐車場経営における節税対策4選

駐車場経営では節税する方法がいくつかあります。主な方法として以下の4つが挙げられます。

アスファルト舗装にする

駐車場はアスファルト舗装にすることで、「小規模宅地特例」が適用され、敷地面積200㎡まで固定資産税が1/2になります。

先に見たシミュレーションを例にとると、軽減措置により固定資産税は以下のように軽減されます。

・200㎡(軽減敷地面積)×50,000円(固定資産税路線価)×1.4%(税率)×1/2=70,000円
・(330㎡-200㎡)×50,000円×1.4%=91,000円
70,000円+91,000円=161,000円(固定資産税)

シミュレーション時の231,000円から161,000円に軽減されました。

アパート・マンションに付随した駐車場にする

アパート・マンションと同じ敷地内で、建物に付随した駐車場にすることで、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。

駐車料金が入るうえに、税金も安くなるのでダブルで有利な節税対策といえます。

事業的規模にする

不動産事業で特に節税効果があるのが青色申告を利用することです。

青色申告を利用するには、駐車場経営が事業規模でなければなりません。

不動産事業で事業規模として認められるための条件として、「5棟10室基準」があります。

その基準を満たすと65万円の青色申告特別控除を利用することができます。

青色申告特別控除を利用すると所得税・住民税の節税につながります

駐車場の場合は5台で1室分に計算されます。

ただ、5台で1室分なので、事業的規模の10室にするには50台の大型駐車場にするか、複数の駐車場を所有して合算する必要があります。

それだけ大きな規模の駐車場を所有するのは現実的ではないでしょう。

そこで同じ敷地内で8室のアパートを建築して10台の駐車スペースを確保すれば合わせて10室基準をクリアして、青色申告を利用することが可能になります。

無理のない範囲で事業的規模を目指すことが望ましいといえます。

土地活用に最適なパートナーを見つける

土地活用にはパートナーとなる信頼できる不動産会社を見つけることが大事です。

駐車場がシンプルな経営スタイルとはいえ、個人で土地活用のすべてに対応するのは難しいでしょう。

節税に関しても個人では把握していない節税方法があるかもしれません。

不動産会社には提携している税理士がいるので、駐車場でどのような節税ができるか相談して、最適な方法を提案してもらうことができます。

土地活用に強い不動産会社を見つけるには、土地活用プラン比較サイト「HOME4U土地活用」を利用するのが便利です。

駐車場経営のメリット3選

駐車場経営には以下のようなメリットがあります。

1.初期投資額が少ない

駐車場で最大のメリットが、初期投資額が少ないことです。

青空駐車場であれば更地のままで駐車場経営ができます

元々土地は持っているので、元手がほとんどかからないため、赤字になる心配がないの

で安心して経営できます。

2.他の事業に転用しやすい

立体駐車場以外は建物がないので、他の事業に転用しやすいというメリットがあります。

屋根やフェンス、ロープ程度の設備なら簡単に撤去して、アパート、マンション、店舗、ビルなどの建物を建築することが可能です。

3.管理方法がシンプル

駐車場経営は管理方法がシンプルなのがメリットです。

青空駐車場であれば設備がないので、修繕費の出費もありません。

建物がないことから、長期修繕積立金も必要ないなどコストの低い投資を目指す人に向いています。

駐車場経営のデメリット

簡単にできる駐車場経営ですが、以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。

1.収益性が低い

駐車場はそれほど多くの収益を見込めません。

アパート・マンションとは収益水準が異なるからです。

10室のアパートであれば家賃5万円でも月50万円の収入になりますが、駐車場を10台2万円の料金で貸し出しても月20万円と半分以下の収入にとどまります。

2.競合が多い

駐車場は手軽に始められるメリットの裏返しで、競合が多いというデメリットがあります。

今後人口減少とともにマイカーの台数も減っていくものと思われますので、満車にすることは難しくなるかもしれません。

3.差別化が難しい

おしゃれな外観など入居者の目を引きつけるデザインにできるマンションと違い、駐車場は競合との差別化を図りにくいというデメリットがあります。

マンションのように人気の設備を導入する余地もほとんどありません。

屋根付きにする方法もありますが、そうすると初期投資費用がかさんでしまい、手軽に始められるというメリットがなくなってしまいます。

駐車場経営に関連する質問

駐車場経営に関連する質問を紹介します。

確定申告が必要な基準は?

給与所得者の場合、駐車場収入の所得がほかの所得と合算し年間20万円を超えた場合は確定申告が必要です。

所得の計算方法は、駐車場収入から固定資産税・都市計画税などの諸経費を差し引いて計算します。

駐車場収入が30万円であっても、諸経費が15万円かかっていれば雑所得は15万円となるため、ほかに給与以外の所得がなければ確定申告は不要です。

給与所得者以外は、駐車場事業を含めた所得の合計が基礎控除額の48万円を超えると確定申告が必要になります。

固定資産税が6倍かかるって本当?

固定資産税が単純に税率1.4%の6倍かかるわけではありません。

固定資産税は土地に建物が建っていることで1/6に減額されます。

一方で建物を建てず更地のままでは税優遇を受けることができません。

したがって、青空駐車場にして税優遇を受けられないと、受けた場合に比べて固定資産税が6倍かかることになるという意味です。

事業税がかかる基準は?

事業を行う法人や個人には事業税が課税されます。

駐車場経営においては、以下に該当すると事業税の対象になります。

・建築物である駐車場または機械設備を設けた駐車場であること。

・上記以外で、駐車可能台数が10台以上であること。

以上の2つに該当しなければ事業税は課税されません。

駐車場収入に消費税はかかる?

消費税課税の有無はケースによって異なります。

アスファルト舗装している、ロープで駐車区画が設けられている等の場合は課税されます。

一方で、更地のまま青空駐車場として貸し出す、貸し付けた土地に賃借人があとで舗装した等の場合は非課税です。

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