今回不動産テックラボでインタビューをさせていただいたのは、住所を入力するだけで地盤の安心度が分かる「地盤カルテ」を運営している地盤ネット株式会社様です。
無料のサービスながら、改良工事率(実際の調査データ)、浸水リスク、地震による揺れやすさ、液状化リスク、土砂災害リスクの5項目について知ることができます。
住宅の購入を検討中の方はもちろん、購入済みの方にもぜひチェックしていただきたいインタビューです。
不動産業界の経験者やITなどに精通しているライターで構成されています。これまで、不動産×ITに関する100以上の商品やサービスを紹介してきました。不動産テックサービスの導入を検討している企業様や、不動産×ITに関する商品の利用を検討している個人の利用者様に向けて、出来るだけわかりやすく解説することを心がけています。
地盤ネット株式会社様へのインタビュー内容を紹介します
今回は、4月1日に就任したばかりの新社長、荒川高広(あらかわたかひろ)様にお話しを伺いました。
本業である地盤事業の原点回帰と事業の拡大のために、30代という若さながら、創業時からのメンバーである荒川様が抜擢されたそうです。
それでは早速、インタビュー内容を紹介していきましょう。
Q1.「今回はインタビューのお時間をいただきありがとうございます。まず最初に、地盤カルテの概要について簡単に教えていただけますか?」
また、それぞれの地盤の特性がわかるよう
A.改良工事率(実際の調査データ)
B.浸水リスク
C.地震による揺れやすさ
D.液状化リスク
E.土砂災害リスク
の5項目について、レーダーチャートと横棒グラフで表示しています。
Q2.「次に地盤カルテをスタートしたきっかけ・経緯を教えてください。」
これまでの建築・不動産業界においては、土地売買契約や建築請負契約がなされた後に、地盤調査を実施することが主流となっていました。
消費者は、土地を購入して建築請負契約締結した後に、宅地の地盤が予想に反したリスクを抱えているとはじめて知ることになります。
そのため、当初は予想していなかった追加工事費用の負担を余儀なくされるなどの不利益を被るケースも少なくありません。
そこで、当社ではこういった消費者不利益を防ぐために「地盤安心マップ®」「地盤カルテ」による地盤情報の提供を始めました。
地盤カルテ以前にリリースした「地盤安心マップ®」は、マップ情報を読み解くための知識が必要なため、一般消費者にとっては分かりづらいものだったかもしれません。
その後、宅地としての地盤品質が点数化し、かつ重要なリスク 5 項目のスコアチャートが表示する「地盤カルテ」機能をリリースしたことにより、専門知識を必要とせず、無料で情報を得ることが可能となりました。
さらに、地盤と災害リスクの検討材料としての要素が中心だった旧バージョンから、地価公示価格の表示機能を追加したことで、不動産価格と地盤リスクのギャップが明確に分かるようになっています。
例えば、カルテのスコアが低い土地にも関わらず、地価(土地の価格)が高いなど、土地の取引における人気と、地盤リスク(安全性)とのギャップについても一目瞭然です。
利便性だけでない「安全に暮らせる場所」という、新たな不動産価値を創造できるフォーマットへ修正を行いました。
Q3.「ここからは具体的な質問に入っていきたいと思います。地盤カルテの結果リスクがある人はどうすればよいのでしょうか?」
生命や資産価値のリスクを考えれば、住まないのが一番(住み替え)ですが、地盤カルテの結果をもとに対策を講じることが重要です。
災害の起こっていない平時のときこそ、災害に応じた避難場所のチェック、非常災害用品の備蓄・定期的な見直しをしておきましょう。
地盤カルテの5項目で、その地盤の特性を知ることができます。
現在は、重要説明事項として、不動産会社からの説明もありますが、まずは消費者ご自身で気軽に調べることができ、どのような場所でどんなリスクがあるのか知っておくことが重要だと思います。
地盤ネットでは、地盤や住まいに関する気になることを相談できる「JIBANGOOカウンター」を2020年にオープンしました。
「地盤カルテ」をきっかけに、不安なことや相談したいことがあれば気軽に相談してください。
Q4.「プロのアドバイスを無料で受けられるということですが、なぜ無料なのですか?」
社会のさまざまな分野で“生活者の不利益”が生じています。
なぜなら、専門的な知識を持たない生活者が、専門的な知識・経験を持つ供給者から一方的に情報を提供されている場合が多々あるからです。
私たちはこの情報格差を埋める役割を担う住生活エージェントとして、生活者がより良い選択をできるようサービスを提供して、住みよい豊かな社会づくりに貢献したいと考えています。
また、創業当時から行っている地盤の事業は、住宅建設会社へのビジネスを展開しており、BtoB向けで始まったものです。
個人の方からの無料相談をきっかけに、顧客拡大をはかりたい、ということももうひとつの理由です。
Q5.「サービスとしてかなり独自性の高いサービスかと思いますが、どのように信頼できるデータを収集しているのですか?」
対象地より3km圏内の当社判定による改良工事率を、20%きざみで5段階に区分して評価しています。
B.浸水リスク
C.地震による揺れやすさ
D.液状化リスク
土地条件図(同図カバーエリア)、または自然環境条件図(土地条件図カバーエリア外)にて、国土地理院が自治体のハザードマップを作るために作成したリスク区分を参考として地形区分からリスク区分、各スコアを算出し、それぞれ5段階で評価しています。
※出展:国土地理院技術資料「土地条件図の数値データを使用した簡便な災害危険性評価手法」http://www1.gsi.go.jp/geowww/landcondition/manual.pdf
E.土砂災害リスク
土砂災害危険箇所と対象地との距離から、リスクを1、3、5の3段階で評価しています。
Q6.「個人と法人向けがありますが、法人のプロで活用する人も多いのでしょうか?」
利用者の3分の1が、住宅会社様や不動産会社様などの法人です。
ここ10年での自然災害件数の増大や激化、また法改正により、供給者である住宅関連法人も「生活者の不安にこたえられるようにしたい」とのことで、利用者数は増えています。
さらに詳しい内容を机上で調べられる、プロ向けの「地盤安心マップPRO」を土地の仕入れや、生活者向けの相談会などでお使いいただくことも多いです。
Q7.「地盤に特化したサービスを提供されているかと思いますが、どのような専門家が在籍されていますか?」
また、住宅地盤に関する必要知識を履修できる「地盤インスペクター」は全社員が取得済みです。
さらに、地盤の高度な知識、解析技術を持つ地盤品質判定士や住宅地盤調査技士、地盤だけではなく、不動産のプロである宅地建物取引士、リフォーム経験豊富なインテリアコーディネーターなど、住宅の総合相談ができるメンバーがそろっています。
Q8.「Webだけではなく現地調査をしてもらうことは可能ですか?」
はい。
最近は、個人の方から直接ご依頼を受けることが増えてきました。
また、土地選びの段階でも、所有者の方に承諾が得られれば、あらかじめ、地盤に関する費用が検討でき、その後の建築予算を立てる際の参考にもなります。
個人の方には、土地を購入する前に地盤調査を行うということが、もっとスタンダードになればいいと思っています。
また、既に建っている住宅でも、「デジタル耐震チェック」という、地盤と建物、両方の地震に対する強さを測る独自調査も実施できます。
この調査も2時間程度で、置くだけでできるものですので、地震大国ともいわれる日本の住宅に住む方にはぜひご活用頂きたいです。
Q9.「具体的な地盤ネット株式会社の将来的なビジョン・ゴールがあれば教えてください。」
まずは地盤を知る、適正な地盤対策を行う、という流れは、建築・不動産業界にも少しずつ浸透してきました。
創業当時からの地盤事業では、上場企業としての信頼性という強みを発揮した補償サービスの充実化、基幹システムのプラットホーム活用による業務効率化と他サービスへの横展開を進めていきます。
ベトナムの子会社で行っているBPO事業(住宅CGプレゼン制作や省エネ計算代行)との連携で、新領域のサービス拡大とさらなる情報格差の解消、住宅に関する総合事業を提供していきます。
また、5年前からスタートしている直接の生活者向けサービスである不動産、住宅建築の分野では、災害に強い「いい地盤」の土地探し、移住促進、安全な家づくりの総合事業「JIBANGOO」を全国でひろげて、災害に強い日本の住まいづくりに貢献していきます。
Q10.「ありがとうございました!最後にインタビュー記事の読者に向けて、一言お願いします!」
地盤や住まいに関する気になることを相談できる「JIBANGOOカウンター」を2020年にオープンしました。
「地盤カルテ」をきっかけに、また、広々とした郊外への住み替えをご検討されている方は、安全な土地選びの具体的な相談ができます。
住宅の建て方、新生活のコストシミュレーションなどお気軽にご相談ください。
地盤ネット株式会社の会社情報
会社名 | 地盤ネット株式会社 |
所在地 | 東京都新宿区新宿5-2-3 MRCビル4F |
代表取締役社長 | 荒川 高広 |
公式サイトURL | https://jibannet.co.jp/ |
最後に
今回は、「地盤カルテ」を提供している地盤ネット株式会社様のインタビュー記事を紹介しました。
“生活者の不利益解消”という高い志を持ち、専門的な知識を一般ユーザーに向けてわかりやすく提供し続ける姿勢が印象的でした。
去年オープンしたばかりの「JIBANGOOカウンター」など、安全な住居探しを地盤からサポートする取り組みも興味深いですね。
今回の記事で興味を持たれた方は、ぜひ下記のリンクから地盤カルテの公式サイトをチェックしてみてください。
地盤ネット株式会社様、今回はお忙しい中インタビューをお受けいただき、ありがとうございました!