「複数の請求書を持っているが、支払日までに早く現金化したい」
「融資を受けたいが審査に落ちてしまった」
請求書買取サービスとは、請求書を業者に買い取ってもらい、手数料を差し引いた分を現金化できるサービスです。
ファクタリングとも呼ばれており、手形に変わる商取引として近年需要が高まっています。
とはいえ、ほかの資金調達方法に比べて認知度が低い請求書買取サービスは仕組みが分からなかったり、違法性を疑ったりする人も多いのはないでしょうか。
この記事では、請求書買取サービスの仕組みや違法性、活用するメリット・デメリットを解説します。
請求書のみで利用できるかも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
請求書買取サービスとはファクタリングと同じ制度
請求書買取サービスはファクタリングと同じ制度のサービスで、請求書の金額を支払い期日前に現金化できます。
ここでは、請求書買取サービスの仕組みや違法性について見ていきましょう。
請求書買取サービスの仕組み
請求書買取サービスには大きく分けて、買取型と保証型の2種類あります。
一般的なファクタリングを指すのは買取型の請求書買取サービスであり、専門業者に請求書を売却しお金を得る仕組みです。
買取型にも2社間取引と3社間取引の2種類あり、用途に合った取引方法を選択できます。
素早い資金調達や売掛先にサービスの利用を知られたくない場合には2社間取引を選び、少しでも手数料を抑えたい場合には3社間取引を選ぶべきでしょう。
各業者によって取り扱っている取引方法が異なるため、請求書買取サービスで資金調達する際は事前に確認しておくことが大切です。
請求書買取サービスは違法ではない
請求書買取サービスは銀行融資などほかの資金調達に比べてまだまだマイナーなサービスのため、違法ではないか疑問に思う方も少なくありません。
請求書買取サービスは、金融庁も推奨している安全なサービスです。
2社間取引の場合は、利用者と専門業者の合意で契約する民法第555条「売買契約」が適用されます。
3社間取引の場合には、売掛先の同意を得たうえで債権を譲渡する制度のため、民法第466条「債権の譲渡性」民法第467条「指名債権の譲渡の対抗要件」が適用されます。
したがって、請求書買取サービスは法的根拠があり、国も認めているサービスです。
請求書買取サービスを活用する4つのメリット
請求書買取サービスの仕組みを理解したら、次は活用するメリットを見ていきましょう。
- 素早い資金調達を実現できる
- 銀行融資の審査に落ちた状態でも利用できる
- 保証人や担保が不要
- 負債が増えない
それでは、各メリットを解説します。
素早い資金調達を実現できる
請求書買取サービスを活用すれば、最短即日での資金調達が可能です。
2社間取引では当日〜5日程度、3社間取引では1週間程度で請求書の金額を現金化できます。
支払日まで待たずとも現金化できる点は、請求書買取サービスの大きなメリットです。
資金繰りが苦しい場合や、一刻も早く手元にお金が欲しい場合に請求書買取サービスは適したサービスといえます。
銀行融資の審査に落ちた状態でも利用できる
銀行融資は厳しい審査基準を設けており、利用者の経営状況によっては審査に落ちてしまいます。
経営難から脱出すべく資金を得たくても、銀行融資だと返済能力が問題となりお金を借りられないケースが多いでしょう。
一方で、請求書買取サービスなら銀行融資の審査に落ちた状態であっても売掛先の信用度さえ問題なければお金を調達できます。
売掛先の信用度が大きく審査結果に左右される仕組みの請求書買取サービスにおいて、利用者が債務超過や赤字経営であっても、審査に通過する可能性は十分にあるのです。
保証人や担保が不要
請求書買取サービスは貸金業ではないため、保証人や担保を必要としません。
銀行融資を受ける場合、不動産を担保にしたり、経営者自身を連帯保証人にしたりするケースが大半です。
返済リスクを負う代わりにお金を得る銀行融資ですが、請求書買取サービスが借り入れではないため、返済リスクを負わずに資金調達できます。
担保にできる不動産を持たない中小企業や個人事業主も多いため、金融庁も請求書買取サービスの活用を推奨しています。
負債が増えない
請求書買取サービスを利用しても負債は増えません。
請求書買取サービスは売掛債権の売買であり、融資ではないため、借入履歴が残らない仕組みです。
負債が増えすぎると企業価値が下がり、金融機関の融資時やM&A時に不利になる場合があります。
一方で、利用しても負債が増えない請求書買取サービスなら、今後もし金融機関から多額の融資を受ける場合や、M&Aをおこなう場合でも影響を与えずに資金調達ができます。
請求書買取サービスを活用する3つのデメリット
請求書買取サービスには多くのメリットがある反面、下記のようなデメリットもあります。
- 売掛先に経営難である自社の状態を知られる恐れがある
- 売掛金額を超える資金調達ができない
- 悪徳業者に注意が必要
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
売掛先に経営難である自社の状態を知られる恐れがある
3社間取引をおこなう場合、売掛先の同意や通知が必要です。
したがって、経営難に陥っている状況を知られてしまいます。
経営状況が悪い会社とは取引したくないと思われる場合もあるため、請求書買取サービスの利用がきっかけとなり、売掛先との関係が悪化する可能性もあるでしょう。
また、請求書買取サービスでは、債権譲渡登記が必要となる場合があります。
債権譲渡登記とは、請求書を買い取る業者に譲渡する旨を第三者に伝える制度です。
契約によっては、債権譲渡登記が必要となるケースもあるため、それをきっかけに請求書買取サービスの利用が売掛先に知られる可能性もあるでしょう。
なお、債権譲渡登記は法人のみおこなうため、個人事業主には適用されない制度です。
売掛金の金額を超える資金調達ができない
請求書内に記載してある金額までしか資金調達できない点も、請求書買取サービスのデメリットといえます。
金融機関から融資を受ける場合、多額の資金を調達できる可能性がありますが、請求書買取サービスでは保有する売掛金の金額までしか現金化できません。
さらに、売掛金から手数料を差し引いた分を受け取る仕組みのため、本来受け取るはずの金額より少なくなってしまいます。
したがって、早期現金化できる便利なサービスである請求書買取サービスですが、依存し多用するとかえって資金繰りが苦しくなる可能性もあるのです。
請求書買取サービスはあくまで短期的な資金調達方法として適したサービスであり、長期的に利用するなら金融機関の融資をおすすめします。
悪徳業者に注意が必要
請求書買取サービスは多くの業者が取り扱っているサービスですが、なかには悪徳業者も存在するため注意が必要です。
法外な手数料を請求したり、本来必要ない金利や保証人、担保を要求したりしてくる場合、その業者は避けるべきです。
優良業者の大半が公式サイト内で会社の情報を公開しているため、信頼できる業者かしっかりと見極めましょう。
口コミや評判を参考にするのも良いですが、ネット上の情報は匿名性が高いため、すべてを鵜呑みにしてはいけません。
ネット上に記載している口コミや評判はあくまで参考程度にし、実際に問い合わせしたり、事務所を訪れたりして、最終的には自分自身で信頼できるか判断しましょう。
請求書買取サービスは請求書のみで利用するのが困難
名前のとおり請求書を買い取ってもらいお金を得るサービスですが、請求書のみでは審査に受かりません。
売掛先の信用度や売掛金の存在を確認するには、請求書だけでなく、下記のような書類が必要です。
- 登記簿謄本(法人)
- 決算書(法人)
- 確定申告書(個人事業主)
- 売掛金の存在を示す書類(請求書・納品書・契約書など)
- 身分証明書
- 通帳
- 印鑑証明書
償還請求権がない契約を締結する場合が多い請求書買取サービスにおいて、売掛金の未回収リスクは請求書を買い取る業者が負う仕組みです。
したがって、業者は少しでも未回収リスクを軽減すべく、上記の書類をもとに売掛先の信用度や売掛金の存在を確認します。
まとめ
今回紹介した請求書買取サービスについて、重要なポイントを3つにまとめました。
- 請求書買取サービスとはファクタリングとも呼ばれる資金調達方法
- 請求書買取サービスは違法なサービスではない
- 請求書のみでは利用できない
請求書買取サービスは、請求書をもとに支払期日前に現金を得る資金調達方法です。
金融機関の融資を受けられない場合でも、高い確率で利用できるのが請求書買取サービス。
必要書類は比較的少ないものの、請求書のみでは利用できないため、注意してください。
なお、複数の請求書をまとめてひとつの業者に売却できるため、多額の資金を得たい場合でも請求書買取サービスは役立ちます。
お金を借りずに資金を得る方法に興味を持たれた方は、請求書買取サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。