今回不動産テックラボでは、VR内覧システム「ROOV」を運営している株式会社スタイルポート様にインタビューをさせていただきました。
2019年の12月13日、VR内覧システム「ROOV」は、マーケティングオートメーションツール「KASIKA(カシカ)」と戦略的業務提携を行ったとのプレスリリースを発表し、話題を集めました。
参考記事:VR内覧システム「ROOV」のスタイルポート、不動産業界向けMAツール「KASIKA」のCocoliveと新築マンション販売の効率化と成約率向上の実現を目指す戦略的業務提携契約を締結
今回のインタビューでは、「ROOV」と「KASIKA」が業務提携をするに至った経緯や、提携に伴ってどういったシナジーが期待できるのか、今後どういった展望を考えているのかなど、株式会社スタイルポートの代表取締役「間所 暁彦氏」に質問をさせていただきます。
不動産業界関係者の方はもちろん、前述2社の提携についてより深く知りたい方はぜひチェックしてみてください。
不動産業界の経験者やITなどに精通しているライターで構成されています。これまで、不動産×ITに関する100以上の商品やサービスを紹介してきました。不動産テックサービスの導入を検討している企業様や、不動産×ITに関する商品の利用を検討している個人の利用者様に向けて、出来るだけわかりやすく解説することを心がけています。
株式会社スタイルポート様へのインタビュー内容を紹介
今回不動産テックラボとして、計10個の質問をさせていただきました。
質問のポイントは大きく下記の3点に分かれます。
- 「ROOV」と「KASIKA」の業務提携について
- VR内覧システム「ROOV」の特徴・強み
- 株式会社スタイルポートの今後の展望
それでは早速みていきましょう。
Q1.「今回ROOVとKASIKAが提携するにいたった経緯・背景を教えてください。」
ROOVはマンション販売現場における販売担当者の動きや購入検討者の検討状況と深度といった「オフライン」での活動度を見える化してより良質なコミュニケーションをサポートし、マンション販売活動の質の向上と効率化を実現しています。
一方、KASIKAは不動産販売に特化したマーケティング自動化・営業支援サービスで、メール配信の自動化や優良顧客リストの掘り起こしといった「オンライン」での販売活動をサポートしています。
既に複数のプロジェクトで両ソリューションの導入実績があった、ザ・パークハウスシリーズの三菱地所レジデンス株式会社様からのご依頼に基づき、技術的検証、連携開発を進めてきた結果、単に現在の機能を接続するだけでなく、オンラインとオフラインをつなぐ様々な連携機能を共同で開発することになり、今回の戦略的業務提携に発展しました。
Q2.「ROOVとKASIKAが提携することで、どのようなシナジーが生まれますか?」
VR内覧システムとして採用が急拡大している「ROOV」と、不動産業界向けマーケティングオートメーションツールとして導入数トップの「KASIKA」の連携により、これまで個々の販売員の経験やスキルに依存していたお客様の購入確度が、お客様の実際の検討状況に基づくデータで把握できるようになります。
これにより、新築マンション販売業務の効率化と成約率向上に寄与すると同時に、お客様のマンション購入体験の向上が実現されると考えています。
Q3.「ROOVとKASIKAを活用することで、具体的にどういった課題を解決できますか?」
例えば、モデルルームでAタイプを中心に説明したお客様に、面積帯・価格帯の異なる複数タイプのROOVをKASIKAのDM配信機能を使ってお届けすれば、DMの開封率自体が格段に向上します。
さらに、ご自宅でどのタイプを一番丁寧に見ているかや、間取り以外にも周辺環境などの関心を持っているポイントが分析可能となり、より住宅購入者の関心、希望に寄り添った販売活動につなげることが可能です。
Q4.「ROOVとKASIKAを今後どういった人・会社に使って欲しいと考えていますか?」
既に先行しているVR系サービスを複数導入していて課題感がはっきりしているような会社の方が実用面で既存サービスとの差を実感していただきやすいので、研究熱心でイノベーティブなタイプの方に特におすすめしています。
Q5.「すでにテスト導入が決まっているとのことですが、今後の展開についてはどのようにお考えですか?」
新築マンションの販売活動における接客前~中~後の物件検討状況を一気通貫でデータ分析できるようにしていきます。
合わせて3D間取り情報以外の日照、景観、周辺環境などといった物件情報へのアクセス履歴についても解析できるようにしていきます。
これにより「お客様が何を求めているか、次にどんな接客をすると成約率が上がるか」といった、お客様に最適化された情報提供が行える機能の開発を両社で進め、一連の販売活動の課題を解決する販売支援ツールの提供を目指します。
Q6.「競合のVR内覧サービスと比べた際の、ROOVの優位性は何ですか?」
空間のイメージ把握をサポートするだけでなく、コミュニケーションそのものをサポートする機能を随所に実装しているところが最大の競合優位性となっています。
制作工程を可能な限り自動化し、あらゆる形式のCADデータから、短期間、低コストでの3DCG化を実現しました。これにより、写真画像をベースとするVRサービスでは対応できなかったまだ存在しない物件のVR内覧を可能にしました。
フル3DCGで室内空間を再現するため、本来現地でしか知り得なかった部屋の形状、窓からの眺望を体験でき、モデル家具の設置、室内各所の採寸や家具配置のシミュレーションなどにより、より深い物件の購入検討をサポートします。
また、独自エンジンの開発により高画質3DCGと様々な機能を、特殊な機器やアプリ、ソフトをインストールすることなく、一般的なPC、スマホ、タブレット端末で簡単に利用することができると同時に、ユーザーの行動ログ分析を可能にしています。
Q7.「VR内覧の文化が社会に浸透していく上で、重要な要因はどこにあると思いますか?」
不動産業界はどうしても「秘すれば花」というカルチャーが強く、出来るだけ物件情報を小出しにして何度も現地に足を運ばせてカスタマーのマインドシェアを獲得しようとする傾向があります。
今後、Webで事前に調べられるものは何でもアクセスできる環境が整ってくるに従い、開示した情報の質で予選を戦い、実際の接客はより深いコミュニケーションが求められていきます。
室内の空間情報をVRで開示する企業が20%程度を超えた時、カスタマーの意識が業界を後押しするかたちでVR内覧が社会に浸透していく動きが加速するとみています。
Q8.「株式会社スタイルポートとして、将来的なビジョン・ゴールがあれば教えてください。」
Web上の3D空間の情報を不動産の販売だけではなく、不動産購入後にそこに住むの方々に開放して生活サポート全般のプラットフォームにしていきたいと考えています。
例えば、ペーパーで保管されている取扱説明書の類をWeb上のVRの室内空間から呼び出したり、メンテナンスのガイダンスを受けたり、消耗品やホームサービスをECで発注したり、さらにはリフォーム時にも活用していただくことも想定しています。
Q9.「不動産テック業界の将来性についての見解があれば教えてください。」
IT化が遅れていると言われてきた不動産業界ですが、2016年頃を境に有望なITサービスのローンチが相次ぎ、多くのスタートアップ企業が知恵を競い、日夜、試行錯誤と切磋琢磨を繰り返しています。
プレーヤー層の厚みが優れたサービス誕生の土壌となることを鑑みると、急拡大の素地は急速に整いつつあるのではないでしょうか。
Q10.「最後にインタビュー記事の読者に向けて、一言お願いします!」
スタイルポートは、意思決定までのプロセスが長く、労力を伴う不動産体験を、テクノロジーの力を借りて飛躍的に分かりやすくかつ効率的なものにアップデートしていきたいという思いで日々サービスの開発と改善に取り組んでいます。
街のマンションの販売センターでROOVを見かけましたら是非手に取って隅から隅まで動かしていただいて物件の理解に役立てていただけたら幸甚です。
株式会社スタイルポートの会社情報
会社名 |
株式会社スタイルポート |
設立 |
2017年10月11日 |
資本金 |
5億4,540万円(資本剰余金含む) |
本社 |
東京都渋谷区神宮前4-3-15 東京セントラル表参道 |
名古屋オフィス |
愛知県名古屋市中区丸の内2-18-25 丸の内KSビル15F |
札幌オフィス |
北海道札幌市中央区北1条東1-4-1 サン経成ビル2F |
代表者 |
代表取締役 間所 暁彦 |
最後に
今回は、VR内覧システム「ROOV」と、マーケティングオートメーションツール「KASIKA(カシカ)」の業務提携について、株式会社スタイルポート様に詳しくお伺いしました。
すでにテスト導入が決まっていることもありますし、今後3D間取り以外の情報も解析できるようになっていくとのことなので、ROOVとKASIKAを組み合わせたサービスは、今後より多くの不動産会社で導入されていくことでしょう。
また、本格的にVR内覧の文化が広まっていくことで、利用者側・不動産会社側共に、これまで物件を探すときにかかっていた時間的なコストが大幅に減少する時代がやってくることにも期待したいですね。
VR内覧システム「ROOV」に興味を持たれた方は、ぜひ下記のリンクからチェックしてみてください。